やさいとせかい

めぐる八百屋&走る八百屋CAR「オガクロ」オーガニック クロッシングのブログです。

■おららの村にはこれがある。第1話

今では知らない方も多くなってしまいましたが、木頭は国から1000億円以上という巨額の予算のついたダム建設を住民の力で止めた村として世界的に知られています。これは僕がこの村に関心を持ち、通いはじめたキッカケの一つでもありました。

オガクロのホームページ(最近は更新していません)に書いていたコラム(全3話)をブログに再掲載していきますので良ければ読んでみてください。

■以外本文

第一話「徳島県那賀郡那賀町「旧木頭村」」

徳島県那賀郡那賀町木頭地域(旧木頭村)。
鳴門ICを下りてから地道を走ること2時間半、大阪からだと休憩なしで走っても5時間。徳島の人でも「木頭には行ったことがない。」という、まさに「山間僻地」に位置し、頭地域には、両側を山に挟まれた川に沿うように小さな集落が点在している。

村内に大きなスーパーなどはなく、一番近いコンビニエンスストアーでも1時間以上はかかってしまう。お嫁に行く年頃の娘さんが「木頭は来とうない、伊谷※はイヤイヤ。」といったと言う話まであるほど。

※伊谷は同じく山間僻地にある小さな村。かずら橋や大歩危小歩危で有名。

その一方でこの小さな村は、日本で初めて村民の力で「ダムを止めた村」として全国的に知られている。1000億円以上の予算のついた公共事業であるダムを止める戦いは30年におよび、村の人たちの生活はボロボロになっていく・・・。

それでも木頭の人たちは最終的にダムを止めた。そして今、木頭にはあめごが悠々と泳ぎ、限りなく透明に近い美しい川が流れている。

美しい自然の残っている場所は日本各地にいくらでもある。木頭より美しい自然が残っている場所もたくさんあると思う。
だけれど、木頭の自然は「村の人たちが自分たちの手で守った」もの。そしてその意味を実感できるのは、僕らより何世代も先の人たちかもしれない。

その木頭が、いま「最先端の取り組みをする村」として動きはじめている。

数年前から村の人たちの暮らしのなかで培われた文化や智慧を、ソーシャルメディアを使って外部に発信しようとする試みが始まった。それに呼応するように各分野のおもしろい人材が移住したり、協力する形で集まり始め、地元の村民とともにさまざまなことにチャレンジしている。オーガニッククロッシングでも木頭のパンフレットを作ったり、大阪でのイベントをコーディネートしたりする形で協力している。

山間僻地であるからこそ残された暮らしや文化、伝承された技術。

シュロで編まれた一本の縄が、30年の月日を経ていまだに現役で使われている。

すべて自然素材で作られた「箕」は、60年間使い込まれ飴色に輝いている。

一本の普通の幅のノコギリは使い続けることで細くなり、曲線が切れるようになった。

楮の繊維で織られる布「太布」の技術は、いまでは木頭にしか残されていない。

このようなことは村のじいやばあにとっては昔から続けてきた「当たり前」のこと。
でも街の人からすればそのひとつひとつが新鮮な驚きをもって受け入れられている。
村の暮らし、じいとばあの智慧が「新しい未来のカタチ」として輝きを放ちはじめた。そして今、そこからなにを感じ、なにを学ぶのか。

オーガニッククロッシングでは「スタディプログラム」という形で定期的に木頭を訪れている。そこで経験したこと、感じたことを短くまとめ、シリーズでご紹介していきます。