やさいとせかい

めぐる八百屋&走る八百屋CAR「オガクロ」オーガニック クロッシングのブログです。

From the summit to the sea. 源流から海を目指して3

人が作り出した境界を一度忘れて、源流から海まで「猪名川」という川でつながっている地域を再確認する今回の取り組み。

1回目は中上流域のオガクロ家から農山村を抜けて家々が増えてくる中流域の町「多田」まで辿りました。

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2回目は前回辿り着いた多田から歩き始め、山間を抜けてほとんど高低差のない猪名川氾濫原をひたすら南を目指して伊丹まで辿り着きました。

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今回は伊丹から出発!猪名川を辿り南へ南へ!海を目指します。写真は地元の方ならだいたいご存知の伊丹のイオンモール

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この時点で猪名川は本流以外に能勢町箕面市から流れてくるいくつもの支流と合流し川幅もかなり広くなっています。広い川岸には運動場や公園などがたくさんあって、サッカーや野球、体操や釣りなどみんなそれぞれ好きなことをしています。川って自由度や公共性の高い「誰のものでもない場所」なんだなーと感じました。(実際には国土交通省の管轄なんですけどね…)

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このあたり一帯は猪名川が過去に何度も氾濫してできた氾濫原。なので高低差のほとんどない土地が遥か彼方まで続いています。実は伊丹から西側は高台(伊丹台地)になっているのが地形図を見るとわかります↓

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猪名川の氾濫が削りとった跡は「河岸段丘/かがんだんきゅう」になっていて、二階建て住宅ぐらいの高低差があるんですよ。

この段丘に沿って川西から伊丹の猪名野神社まで「伊丹緑道」が整備されています。過去にはこの緑道を歩いたこともありますが地形がわかって面白いので関心のある方は一度歩いてみることをおすすめします。また万が一猪名川が大氾濫を起こすようなことがあればこの伊丹台地に避難すれば水害はさけられるように思います。

この氾濫原の広く平坦な土地を使って競馬場や飛行場、ゴミ焼却施設などの大規模な施設がたくさん作られました。

園田競馬場

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↓ゴミ焼却施設

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今回、ずっと川沿いを歩いてみて気づいたのが写真に写る大きな空と川の雄大な景色!いつどこをとっても他では撮れないような素晴らしい景色を撮ることができます。

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「なんでやろう?」と思って考えてみると、そう空を横断する電線がないんです。このあたりは高低差もなく川沿いだと高い建物も見えないので他ではあまり見ることができないような広い空や雄大な景色を見ることができます。

いつもはすぐ隣に広がる住宅地の中を走っているので、川から見る景色がこれほど素晴らしいとは思っていませんでした。若い頃に旅したオーストラリアの景色にも負けてないように思います。昔は住宅や工場などの建物もなかっただろうから、どれだけ先まで見渡せていたんでしょうね。

さて猪名川は途中本流と支流の藻川の2本にわかれ、少し先でまた合流します。ここが2つの川の再合流地点↓

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「嵐で川が氾濫し橋が流されて行基さんが川を渡れなくなっていたところ、鯉がたくさん集まって橋を作った」という伝説があり、この地域の方は鯉を食べないという話があるそうです。

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猪名川下流域にはこの地域の鯉以外にも「鯰/なまず」や「鮒」などの川魚を祀っている地域がいくつかあるみたいですね。多田の龍のお話や呉服の羽衣のお話などこういう伝説のようなものってその歴史を辿ると地域の成り立ちがわかったりして面白いなぁって思います。

ここから一気に川幅が広がって、海が近いことをより感じるようになりました。そしてその少し先で神崎川と合流。猪名川という名前はここで終わりです。ここからは合流した川を海まで辿ることになります。

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このあたりから川沿いを歩くことができなくなり道路に出ました。川との間には2m近い壁がたちはだかり道路から川の様子を見ることはできなくなります。
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このあたりは海抜0メートル地帯。川と町の高さが同じなので、この壁がなければ川の水が溢れて町を水浸しにしてしまいます。途中壁が途切れるのは写真のような大きな道路がある場所だけ。
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水が溢れそうになった時に閉める巨大な水門がありました。
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でも考えてみたら川の氾濫が予測されてこの水門を閉めてしまうと道路が遮断されてしまうわけです。となると人は南北にしか移動できなくなるのか…。その時どういう状況が生まれるのか平時のうちに一度想像してみる必要がありますね。

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この道路を過ぎると壁を越えてまた川に降りれるようになっていました!ここからまた川沿いを更に南へ向かおうと思います!
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つづく