やさいとせかい

「めぐる八百屋 オガクロ」と「走る八百屋カー オガクロ」のオーガニック クロッシングです。

出口の入口「鎌と畑」

最近、畑に足が向きます。今日も朝から畑にでました。

 

こちらに引っ越してきた頃、自然農で自給用の畑をしていました。草が生えれば鎌で刈って土に還し、あらゆる虫たちや微生物たちの営みや、野菜の葉や花、タネの美しさに心を打たれながら野菜を育てていました。

 

八百屋Carで走りまわるようになってからは仕事に追われる毎日。大きなイベントも企画から運営までするようになって忙しくなり、いつしか畑にでることはなくなってしまいました。でたとしても草がボーボーになりご近所さんの目が気になってから草刈機で一気に刈り倒す程度でした。

 

このお盆の期間、久しぶりに庭の手入れや畑をする時間ができて、昔使っていた鎌を引っ張りだしてきました。四国の鍛治職人さんが鍛えてくれたものなのですが、全面錆び錆びになっていて「これほんまに切れるんかな?」と半信半疑ながら研いでみました。

研ぎ終わって畑で使ってみると、これが面白いぐらいによく切れます!草を撫でるだけでスパスパと!さすが職人さんの鍛えた道具は違うなぁと感服しながら、だんだん楽しくなってきて夢中で畑の草を刈りました。

 

途中「ふぅ、ちょっと一休み」と深呼吸をして畑を見回した時のこと。

朝陽が昇り始めたぐらいの時間はとても静かで穏やかです。草の影からたくさんの虫たちやカエルたちがあちらこちらからでてきたり隠れたりするのが見えます。野菜と野菜の間に張られた蜘蛛の巣についた朝露は朝陽に照らされてキラキラと輝きいています。ポチャンとカエルが水に飛び込む音や虫がカサカサと草を掻き分ける音も聞こえてくる。歩けば服と擦れたトマトの葉の香りや、さっき思わず刈ってしまったニラの香りがフワリと鼻をくすぐります。草が土に還るときのなんとも言えない香ばしい香りもします。草と野菜の葉を掻き分けるとバナナウリや小さなスイカを発見!宝物を見つけたように嬉しかった。

 

そうこうしているうちに、僕の何か忘れていた感覚が蘇ってくるように感じました。そして「ああ、そうか…。鎌だからだ…」と気づきました。

 

畑の草を草刈機で一気に刈る時、感じるのは機械のもっている圧倒的な力です。逃げ惑う虫やカエルたちを邪魔もの扱いするように追い払いながら草をバリバリと刈り倒していきます。エンジンの騒音で他の音は何も聞こえず、あたり一面に漂うのはガソリンの臭いだけ。草や野菜の微妙な匂いは消えてしまいます。

そんな状態で草を刈ることに最初は少し違和感がありました。でも効率よく、できるだけ早く草を刈るためには仕方がないと自分に言い聞かせていたように思います。でもそのうち違和感すらもなくなって、それが普通になりました。

 

 でも今回、久しぶりに鎌を研いで畑にでてみて、手に収まる道具ひとつで向き合ったときの「畑」という世界の広がりや豊かさ、多様な動植物や微生物たちの営みに改めて心を打たれました。

 

 機械は人間の作業を助け飛躍的に楽にしてきたと思います。ただそのために忘れてしまったこと、見えなくなってしまったこともきっととても多く、また失っていることに気付くこともなくなってしまっているのかもしれない。

だからたまには鎌一本で畑にでるようにしよう。多様で調和のとれた動植物の世界に学ぼう、と感じた朝の畑でした。

 

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